十五夜や旧正月のように、月の満ち欠けで日付が決まる行事があります。旧暦の日付で行われてきたもので、新暦のカレンダーでは毎年大きく動きます。ここでは旧暦のしくみと、月にまつわる行事の決まり方をまとめます。
旧暦とはどんな暦か
旧暦は月の満ち欠けを日付の基準にした暦です。新月の日を1日とし、次の新月の前日が月末になります。満月はほぼ15日ごろにあたります。ついたちの語源は、月が立ち上がる「月立ち」だという説が有力です。
日付を見れば月の形が分かるのが旧暦の利点です。街灯のない時代には実用的でした。十五夜が満月なのも、十六夜や立待月という呼び名があるのも、日付と月齢が一致していたためです。
日本で最後に使われた旧暦は天保暦です。明治5年12月2日の翌日を明治6年1月1日とする改暦が行われました。ここから新暦に切り替わります。
月の呼び名と旧暦の日付
旧暦の日付は、そのまま月の呼び名になりました。三日月は3日の月、十五夜は15日の月です。16日以降は月の出が毎日遅くなります。その待ち方が名前になりました。
- 十六夜…ためらうように出る月
- 立待月…17日ごろ。立って待つうちに出る
- 居待月…18日ごろ。座って待つ
- 寝待月…19日ごろ。横になって待つ
月の出の遅れは、一日あたり50分ほどです。待ち時間が名前に変わっていく並びに、当時の暮らしぶりが残っています。
旧暦の月の名前
旧暦の月には、数字とは別の呼び名がありました。睦月、如月、弥生、卯月、皐月、水無月と続きます。文月、葉月、長月、神無月、霜月、師走で一年です。
新暦の月にそのまま当てはめると、季節感がひと月ずれます。師走は新暦の1月ごろ、水無月は7月ごろにあたります。田に水を張る時期なのに水無月と呼ぶのは、水の月という意味だったからだという説が有力です。
閏月というしくみ
月の満ち欠けの周期は約29.5日です。12か月では約354日にしかなりません。太陽の一年より11日ほど短く、3年で季節と1か月ずれます。
そこで旧暦では、数年に一度だけ閏月を挟みました。おおむね19年に7回の割合です。閏月が入った年は13か月になります。どの月を閏月にするかは、中気を含まない月を閏月とする方法で決めます。中気は雨水や春分など、一つおきに並ぶ節気のことです。
旧暦は月で日付を決め、太陽の節気でずれを直す暦です。太陰太陽暦と呼ばれるのはこのためです。節気については二十四節気とはをご覧ください。
新暦とのずれと月遅れ
旧暦の日付を新暦に置きかえると、おおむね1か月ほど遅れます。旧暦7月7日は新暦の8月にあたります。改暦のとき、行事の日付の扱いは三つに分かれました。
お盆が7月と8月に分かれるのはこの選択の違いによります。同じ行事の日付が土地によって異なる背景には、たいてい改暦があります。月遅れを選んだ地域が多いのは、農作業の区切りに合っていたためです。
月の満ち欠けで決まる行事
十五夜と十三夜
十五夜は旧暦8月15日の月を愛でる行事です。旧暦では7・8・9月が秋で、真ん中が8月15日にあたります。中秋の名月と呼ぶのはこのためです。十三夜は旧暦9月13日で、十五夜の約1か月後になります。片方だけ見ることを片見月といって避ける風習がありました。
旧正月と旧七夕
旧正月は旧暦1月1日です。新暦では1月下旬から2月中旬を動きます。旧七夕の日付は、処暑にもっとも近い朔から7日目という基準で決まります。8月に入るため、梅雨が明けて天の川が見えやすい時期になります。
八朔と亥の子
八朔は旧暦8月1日で、八月朔日の略です。早稲の穂が実る時期にあたり、田の実りを祝って贈り物を交わしました。亥の子は旧暦10月の最初の亥の日です。日の干支で決まる点は干支で日が決まる行事にまとめました。
旧暦で日付が決まる行事の一覧
- 旧正月…旧暦1月1日。1月下旬から2月中旬
- 旧七夕…処暑に近い朔から7日目。8月
- 八朔…旧暦8月1日。8月下旬から9月
- 十五夜…旧暦8月15日。9月から10月上旬
- 十三夜…旧暦9月13日。10月から11月上旬
- 十日夜…旧暦10月10日。11月ごろ
- 亥の子…旧暦10月の最初の亥の日。11月ごろ
旧暦が今も使われる場面
改暦のあとも、旧暦が消えたわけではありません。月見や旧正月のように、月の形が意味を持つ行事では今も使われます。潮の満ち引きを読む漁業でも、月齢は欠かせない情報です。
市販のカレンダーにも、旧暦の日付や月齢が小さく刷られているものがあります。行事の日付を確かめるときは、この欄が手がかりになります。
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