なまはげは12月31日です。
なまはげとは
なまはげは、秋田県男鹿(おが)市で毎年12月31日の大晦日の夜に行われる伝統的な民族行事です。鬼のような恐ろしいお面と藁(わら)の衣装を身にまとった仮面来訪神(らいほうしん)が、地域の家々を訪ねて回ります。
見た目は恐ろしい鬼のようですが、悪霊を払い災いを追い払う神様の使い(神の化身)です。家々の無病息災や豊作を祈る神聖な日です。「泣く子はいねがー」と大声を出しながら怠け者を戒め、新年の幸福をもたらしてくれる伝統行事です。
由来と歴史
なまはげの由来は「火斑(ナモミ)」というやけど跡にさかのぼります。囲炉裏にあたってばかりいるとできる跡のことです。怠けてばかりいるとナモミができるため、それを剥ぎ取って懲らしめる「ナモミ剥ぎ」が「なまはげ」という言葉に変化しました。
古くから男鹿半島の修験道(しゅげんどう・山で修行する宗教)や自然信仰と結びつき、厳粛な神事として受け継がれてきました。漢の武帝が連れてきた鬼の伝説や、漂流した外国人説など、地域には様々な言い伝えが残されています。
昭和時代になると、国の重要無形民俗文化財に指定されました。さらに平成30年には「男鹿のナモミハギ」としてユネスコ無形文化遺産に登録されました。日本の伝統的な訪問神の文化として世界的にも高い評価を受けています。
何をする日か
大晦日の夜、地元の青年たちがなまはげに扮して、一軒一軒の家を訪ねて回ります。
- 出刃包丁や手桶を持って「泣く子はいねが」と大声を出します
- 家に入ると暴れながら怠けている子どもや若者を戒めます
- 主人からごちそうを振る舞われ新年の無病息災を約束します
なまはげが家に入ると、主人は丁寧にお辞儀をして部屋へ招き入れます。主人となまはげは問答(会話)を行い、この一年間の家族の働きぶりや子どもの勉強について話し合います。
主人はお酒やごちそうでもてなし、「我が家の子どもは良い子です」と庇いながらなまはげを宥めます。最後は次の年の無病息災を祈り静かに立ち去ります。なまはげが去ったあとに落ちた藁は、無病息災のお守りとして大切に拾い集められます。
食べるもの・供えるもの
なまはげを迎える家では、神様の使いをもてなすためのお祝いのごちそうや清めのお酒を用意します。
お膳には、秋田の伝統料理である「お煮しめ」や、ハタハタの塩焼き、ハタハタ寿司などが並べられます。ハタハタは秋田の冬を代表する魚で、おめでたいお祝いの席に欠かせない高級魚です。
また、三方(さんぽう)と呼ばれる台にお神酒(おみき)やお餅を載せてお供えします。なまはげは出されたお酒やごちそうを美味しくいただき、その家の家族の健康と豊作を祈願して次の家へと向かいます。
準備はいつから
なまはげの行事を行う集落では、当日の1週間前までにお面や藁の衣装(ケラ)の点検と修繕を行います。藁を一から編んで衣装を作り直す集落もあり、青年たちが総出で準備を進めます。
なまはげを迎える各家庭では、当日の前日までに掃除を終わらせ、お酒やお膳の準備を整えておきます。部屋を清めて三方を飾り付け、神様をお迎えする準備を完成させます。
観光でなまはげを見学したい場合は、当日の1か月前までに男鹿市内のホテルや「なまはげ館」のイベント情報を確認しておきます。大晦日の行事は基本的に地元の民家で行われるため、観光客は資料館や専用のイベントで見学するのがマナーです。
地域による違い
なまはげは、秋田県男鹿市のほぼ全域の集落で行われている地域限定の行事です。
集落ごとにお面や衣装のデザイン、掛け声が全く異なるのが大きな特徴です。赤面(男鬼)と青面(女鬼)のペアで回る地域もあれば、木彫りの独特なお面を使う地域もあります。集落ごとに伝統のお面や作法が継承されています。
また、同じ秋田県内や東北地方には、「ヤマハゲ」や「吉浜のスネカ」など、なまはげによく似た仮面行事が点在しています。いずれも怠け者を戒め、新年の幸運をもたらす訪問神の行事として大切にされています。
よくある疑問
観光客が大晦日になまはげを見ることはできますか
大晦日の伝統行事は一般の民家で行われるため、観光客が家の中に入ることはできません。ただし、男鹿市にある「なまはげ館」や「男鹿真山伝承館」では、本物そっくりのなまはげの行事を体験できます。また、毎年2月には「なまはげ柴灯まつり」が開催され、観光客も大迫力の演舞を楽しむことができます。
なまはげが身につけている藁(わら)を拾うと良いことがありますか
はい、大変縁起が良いお守りとされています。なまはげが歩くときに衣装から落ちた藁は、頭に巻くと頭痛が治り、大切に保管すると病気にならないという言い伝えがあります。家に上がったあとに落ちた藁を集めて、1年間のお守りとして家に飾る風習があります。
子どもが怖がって泣いてしまいますが大丈夫ですか
はい、泣いてしまっても全く問題ありません。子どもを恐怖で泣かせることには、「悪霊や病気を追い払う」という意味が込められています。しっかり叱られて泣くことで悪霊が払われます。子どもは良い子にしようと心に誓い、元気に成長すると信じられています。

